数々の橋に歴史あり。 絵図を頼りに長い長い公園散歩。

玉川上水緑道

三鷹駅から萬助橋に至る「風の散歩道」や、その先のうっそうと木が茂る井の頭公園から牟礼に至るまで、三鷹市域を流れる玉川上水沿いは気持ちのいい散歩コースです。豊かな植生や鳥のさえずりに囲まれ、とくに未舗装の部分を歩いていると、まるで山道に紛れ込んだようですが、アップダウンはほとんどありません。

この辺りを含めて、平和橋(福生市)から浅間橋(杉並区)までの約24kmは、「玉川上水緑道」という名前の都立公園。ずいぶんと細長い公園です。

玉川上水緑道

歩いていると、ところどころで写真のような絵図の立て看板に出くわします。絵図には流域の見どころや最寄駅がわかりやすく案内され、看板が立つ現在地も示されています。「この公園に寄り道してみよう」「あそこまで歩いて、この駅から電車で帰ろう」など、目安をつけられて便利です。

さて、この絵図。羽村取水口(羽村市)から四谷大木戸(新宿区)まで築かれた玉川上水全長43kmのうち、現在も開渠している(上部にふたがされていない)、羽村取水口から浅間橋までが描かれていますが、驚くべきはその橋の数。じつに96カ所。三鷹市域だけでも大橋(現在は新境大橋)、けやき橋、三鷹駅、三鷹橋、むらさき橋、萬助橋、ほたる橋、さいわい橋、新橋、松影橋、井の頭橋、若草橋、宮下橋、東橋、長兵衛橋、牟礼橋を読み取ることができます。

いまの三鷹駅に立つと、とても水路の上にある感じがしません。また、かつては離れていた三鷹橋まで地続きなので、ますます橋のイメージは湧きませんが、三鷹駅もれっきとした橋。むらさき橋は、かつてこの周辺で栽培された紫草で染めた「むらさき染」にちなんでいて、三鷹市と対岸の武蔵野市の両市民の公募から名付けられました。萬助橋は、安政年間に地主の渡邊萬助が、近くの大盛寺境内の杉を使って架けた橋が始まりとされ、子孫である渡邊萬助(世襲名)は第2代三鷹市長を務めています。

江戸時代に人口が増加した江戸の飲料水をまかなうため、幕府が多摩川から水を引くことを計画し、玉川庄右衛門、清右衛門兄弟が玉川上水を完成させたと言われるのが1653年。施工350年の2003年には「江戸、東京の発展を支えた歴史的価値を有する土木施設・遺構」として国の史跡に指定されました。

ときには自然だけでなく、歴史を味わいに緑道を歩いてみてはいかがでしょう。


この記事を書いた人
小田原 澪 (てんびん座)ライター

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