こだわりの手仕事を伝える住宅街の江戸前寿司屋 宝寿司(三鷹台駅)

回転しない寿司屋やチェーン店以外の寿司屋を探す方が難しくなってきた今日この頃。三鷹市内にもまだ何軒か、昔ながらに「江戸前」の暖簾を掲げた寿司屋があります。三鷹市井の頭にある宝寿司もその一つです。

井の頭線・三鷹台駅から線路と交差する駅前通りのだらだら坂を上ると、右手に宝寿司の暖簾が見えます。配達用のバイクも止まっているかもしれません。寿司職人とフロア担当の男性二人で切り回す地元密着型の小さなお店です。

左右に魚拓風の魚が描かれた暖簾が目印。

左右に魚拓風の魚が描かれた暖簾が目印。

住宅街のお得意様と出前がメイン。ネットには全く力を入れていないため、グルメサイトにも店名と所在地・地図、そして寿司・日本料理というジャンルくらいしか出てこないことがほとんどです。

なぜ日本料理かというと、寿司屋でありながらうなぎも扱っているのです。土用の丑の日には、気っ風の良い女性たちが店頭でうなぎを焼きます。炭火で焼くうなぎの香ばしい香りは、三鷹台の夏の風物詩の一つです。

このお店を教えてくれた地元の友人によると、昭和の時代には神田川で鰻が獲れ、川沿いに鰻屋もあったらしく「もしかしたらその頃の名残かもしれない」と言います。宝寿司も以前はもっと駅の近くに店舗があったそう。今腕を振るっているのは、お父さんが始めた寿司屋を継いだ2代目。素材も良く、地元のファンは多いとか。「ちょっと寿司をつまみながら、軽くビールかお酒を飲むのが最高」とのことでした。

住宅街の寿司屋は知らない人間にとって非常に敷居が高いものです。ですが、ここはランチタイムに「にぎり寿司セット」と「ちらし寿司セット」を1000円で提供しており、一人客でも安心。某グルメサイトには珍しく2018年10月に来店したお客さんのコメントがありましたが、「何の変哲もないランチセットのにぎりと思っていたら、マグロの美味しさに驚いた」とか。何の変哲もないほどごまかしが効かず、違いが際立つというものです。

表には手書きのランチメニューが掲げられている。

表には手書きのランチメニューが掲げられている。

正統派江戸前のにぎり。ランチの定食には季節の小鉢ものと味噌汁がつく。

正統派江戸前のにぎり。ランチの定食には季節の小鉢ものと味噌汁がつく。

新鮮な良いネタに、酢締めやヅケなどの丁寧な仕事をするのが江戸前の誇り。気楽に暖簾をくぐってみてください。何しろ寿司は、お江戸のファストフードだったんですから。


宝寿司
東京都三鷹市井の頭2丁目8-1
0422-43-2840
井の頭線・三鷹台駅から徒歩10分

この記事を書いた人
萩谷 美也子 (いて座)サイエンスライター

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